沙村弘明さんの『無限の住人』て、今アニメやってますけども、どのくらい知ってる人いるのかなあ……。
江戸時代の、仇討ちの話なんですよね。最近は幕末陰謀ものになってきちゃったみたいだけど。凛て女の子が道場やってた両親を殺した人間を討つために、用心棒を雇って旅をするという……
凛の母親を陵辱して殺した人間の一人に、川上新夜ってのがいるんですよ。で、この男を見つけた凛は当然敵を討とうとするけれども……
新夜にも、子供が居るんです。しかも、子供の前では、新夜は人殺しであることを隠していて、優しくていい父親をしている。子供はまあ……普通にいい子だし。それで、凛は悩んだ挙句、新夜に『あんたが本当に反省して今後はまっとうに暮らすって言うんなら、あんたに対する仇討ちは止める』っていうようなことを言うんです。
『無限の住人』はグロくてあまり好きじゃないんですけど、そこで新夜が返す台詞は良かったと思う。何ていうか、凄く心に残ってるんだよね。一言一句とは言えないけど、
『なるほど……安いんだな。あんたにとって、母親の命ってのは』
……確かこんなふうだったと思う。
正直、食傷気味なんだけど、”復讐”って、よく出てくるモチーフだと思うんですよ。しかも”止める”か”遂げる”かのどっちかしか無く、エンドも決まっているし。どっちを選ぶのが正しいのかはキャラ性で決まるけど、”止める”ってなんとなくモヤモヤすること多いんですよねえ……
いや勿論、無益なのはわかってる。でも、それこそ当事者が”最初から”わかってることだと思うわけ。無益なのは最初からわかってる、だけど選択する道はひとつしかないのが、復讐なんじゃないのかなって…
殺されるほうにも生活があって、家族や友達が居て、それを見て本当に仇討ちが正しいのか迷うし、自分も人殺しをすることに恐れを感じてくる……ってのが、アンビバレントで人間らしいっていう意見もわかるよ。わかるけど
ただ、そういうのを見せ付けられたとしても微塵も迷わないということも、人間性だと思う。情緒の欠如と見るんではなくて、最初の考慮の深さ・決意の硬さと、一旦決めたら迷わない意思の強さという面で。
コーネリアはやっぱり、止めることは出来なかったろうと思うんだよね。ギアスの暴走っていうのは別にルルーシュが意図したものではないし、そういう意味では仕方の無い事情なんだけど、だからといって、それを聞いて”そうかじゃあ仕方が無かったんだね”って済ませるのかっていうと、そうじゃないだろうと。事情に理解を示すことと、納得することは別なので。
取り返しのつかないことって、やっぱりあるんじゃないかな
最終回のコーネリアが笑っている写真とか見るとねえ。ルルーシュが死んでくれたんで無ければ、この笑顔は無かっただろうなと、今でも私は思うんですよね……
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